訪問看護

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今話題のQOD(死の質)とは!QOL(生活の質)との違いは!?その①

先日、小川糸さん著の「ライオンのおやつ」を読みました。

ある女性の終末期の物語です。自分は最期をどう迎えたいのかを考え、とあるホスピスで最期を迎えようと決め、そこで知り合ったスタッフや終末期の方々から新たな学びを得て、死への恐怖を払拭していく。そして最高の死を迎えるというお話でした。

訪問看護にたずさわり、たくさんの看取りを経験してきましたが、みなさんさまざまな思いを抱えながら、十人十色の最期があります。
この本を読み、改めてQOLとQOD(生活の質と死の質)について考える機会をいただきました。

目次

QOL(生活の質)とは

 

「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の略称で、一般的には「生活の質」と訳されています。「生きがい」「満足度」を意味する場合もあります。

QOLは「生活の質」のみならず、「生命の質」「人生の質」も含み、「生命の質」は心身が健康であること、「生活の質」は今の生活が継続できること、暮らしづらさを軽減すること、そして「人生の質」は自分らしい生きがいを見つけることです。

これら3つの「life」「質」を維持・向上することでQOLの向上につながります。

看護師として

WHO(世界保健機関)は1946年に健康の定義として「健康とは、身体面・精神面・社会面にとって良い状態であること」と提唱しました。私たち医療従事者は、特に看護師は患者がこの健康の定義から逸脱しない、QOLが低下しないように看護計画を立て支援しています。在宅の場でも同じです。訪問看護師はその方の生活背景を看護計画に反映させ、日常生活でQOLが低下しないように支援しています。

QOLは医療現場だけではない

近年注目されているのは、職場でのQOLです。社会に出てから定年を迎えるまでの総労働時間は124,236時間、約10万時間といわれています。この10万時間が充実していなければ…想像するだけで恐ろしくなりますね。

仕事へのやりがい、会社の待遇、職場の人間関係などなど。これらが良好か否かで仕事をしている時間の充実度は変わります。仕事で疲弊していたらプライベートも楽しめません。

仕事とプライベートの両立、最近ではワーク・ライフ・バランスと言われていますが、このワーク・ライフ・バランスが整うことにより、個人のQOLは大きく変わります。

QOLが低下する要因
 

・身体面
今までのように身体が動かない“という状態はQOLを低下させます。

高齢者では低栄養や活動量の低下などからADL(日常生活動作)が低下し、結果的にQOLの低下につながります。また、高齢者に限らず生活習慣の乱れはQOLの低下に密接に関係していると言われています。栄養の偏り、睡眠不足、部屋を散らかしたままにしたり、生活全体に張りがなくなり自己肯定感も下がり、仕事のみならずプライベートにも悪い影響を与えます。

・精神面
私たちは日々、家族・近所・学校・会社・SNSなどさまざまなコミュニティと関わり、誰かに接しながら生活しています。すぐに打ち解けられる方、少し苦手だなと思う方、いろいろです。職場では責任というプレッシャーをもあるでしょう。自分の力が十分に発揮できない環境や人間関係などは知らないうちにストレスがかかってす。このストレスの蓄積がQOLを低下させます。

・社会面
社会というと、大きな枠組みをイメージしてしまうかもしれませんが、ここでは個々がかかわるコミュニティをイメージしてください。仕事にやりがいを見いだせずに仕事をこなすだけ、リタイア後に生きがいを見いだせずに時間が過ぎるのを待つだけ、というように満たされない毎日は人生をつまらなくさせ人生全体のQOLを下げると言ってもいいのではないでしょうか。

QOLを上げるには

QOLを上げるには、先に述べたQOLを下げる要因と逆のことに心がけていくことがいいのですが、より気にかけていただきたいことをお伝えします。

・十分な睡眠
睡眠時間は人によって異なります。自分に合った睡眠時間を知り質の良い睡眠を確保していただきたいです。睡眠不足は、翌日の倦怠感、集中力・注意力の欠如、イライラしたり怒りっぽくなります。そこからストレス増加につながります。

・ストレス発散の方法を持つ
ストレス過多に陥った時に耐えて過ごすことはメンタルに支障をきたします。メンタルに支障をきたす前に対処することが重要になりますが、その対処方法は個々で異なります。自分は何をすることでストレスが軽減できるのかを知り上手に取り入れていただきたいです。

・自分の時間を作る
ストレス発散方法があるからと言って、ストレスのたまる生活が良いわけではありません。日々の生活で、少しだけでも自分と向き合う時間を作ることで、何に対し不快・不安・苛立ちえお覚えるのか、どういう時に幸せに感じ、心地よい気分になるのか、その日の出来事を振り返り書き出すこともいいでしょう。このような時間は自分では気づいていなかった自分を知るきっかけになり、困難がやってきたときに上手かわすことができたりと、必ず良い方向に導いてくれるようになります。

QOLが満たされているかどうかは、個々の価値観で変わってきます。

今回はQOLのみでQODのお話はできませんでした。簡単にQODについてお伝えして、次回もっと詳しくQODについて考えていきましょう。

QOD(死の質)

 

QODはあまり耳にしないかもしれません。「Quality of Death(クオリティ・オブ・デス)」の略称で、「good death(よい死)」と表現されることもあります。死の在り方、死にゆく過程における全般的な質を意味し、いかに満足して死を迎えるか、という死の質を表す概念です。